◆今月のメッセージ 2014.02:

今年も一ヶ月があっという間に過ぎ去りました。

今月からしばらくは、パリの家での生活です。

寒い寒いと思っても、庭の木々は、もう白樺や桜の枝からの芽吹きがはじまっていますし、寒々して裸になっている木々からも、春に向けての活力が感じられます。
足元を見れば、黄色のクロッカスが顔を出しています。
今日はお天気がよいので、小鳥たちも木々を行き来しながら楽しんでいます。
自然と一緒に生活できる事への感謝の気持ちが溢れている今日この頃です。

若いころは、四季があるのが当然、と思っていたのですが、40代になったころから、四季の移り変わりの美しさに感激を通り越して、心から感動を覚えるようになりました。

ヴィヴァルディの有名な「四季」という曲がありますが、あの曲は、ヴィヴァルディが何歳の作品なのか気になって調べてみたことがあります。
47歳に作曲したということで、昔の事ですから多少違うこともありますが、40代後半の作品だということで、何となく納得してしまいました。
その頃から、自然界への関心が自然と強まってきたのは確かです。
自分の置かれている立場、世の中の色々な事を冷静に客観的に見えるようになってきました。

自然界にもともと興味がある、写生を好む絵描き、詩人や自然界を好む写真家は、天性に自然美を感じる能力が備わっているのでしょうが、私のような凡人は、成長するにつれて、自然の美しさを強く感じ、感動するものなのでしょうね。
ですから、人一倍旅行が好きなのかもしれません。
見聞することは、何よりも楽しいですし、自分の血や肉になっているのが分かります。
栄養の血や肉とは違い、さらさらの血や松坂牛のような良質の肉になっていくのが分かり、わくわくしてしまいます。

レ・クロッシュのリサイタルの折に、演奏中に、感動して涙を拭いたり、すすり泣く方がいらっしゃり、心の奥まで音が伝わったのだわ、と感動する事がありますが、若い方はいらっしゃらないのです。
40代以降の方たちがほとんどなのですが、これは、たくさんの経験や体験を通して日々過ごされ、ふと音楽を聴くと、何か特別な感情が湧いてくるのだと思います。

映画やドラマも若い時は別に気にも留めずにさっと通り過ぎていった事が、最近は、それが心の中に忍び込み、嘆いたり、感動したり、気持ちが揺れ動きます。

2月3日が節分、2月4日は立春です。
まだまだ春を肌で感じるには時間が必要ですが、自然界の木々は確実に春に向けての準備をはじめています。
今月の写真は、庭のクロッカスです。

素敵な2月をお過ごし下さい。